生命の灯がまさに消えようとしている啄木。
救いなき悲恋に懊悩する牧水。
苦悩を抱えるふたりの間に交わされる友情。
その向こうに立ち現れる明治の青春群像。
啄木・牧水の生と死と愛を描く初の伝記小説。
★★★★★
初の啄木と牧水を主人公とした書き下ろし小説。
評伝小説の快作
詩人・歌人として天才の名をほしいままにするも、 自由勝手な行動で周囲を翻弄する啄木。家族の軋轢、極限の貧困、 そして不治の病により死が迫っている。いっぽう、旅と酒を愛し、 時代を画する歌人となりながら、 思いもかけぬ恋の行方に懊悩する牧水。「歌」 に寄せて二人の間に生まれた深い友情も、まもなく消え去るのか. ..。明治末期、大逆事件など騒然とした社会状況の下、 二人をめぐり、漱石、鷗外、鉄幹、晶子、 白秋ら多くの文学者が交錯する。
★「若山君、僕はどうしても死にたくない。 僕はまだ助かる命を金のないために自ら殺すのだ...。 見たまえ、そこにある薬が二、三日来絶えているが、 この薬を買う金さえあったら...、僕はすぐ元気を恢復する。 だがうちにはもう二六銭しか金がないんだよ。しかも、 もうどこからも金の入ってくる見込みはない...」「 死ぬんだよ、いなくなるんだ。この石川啄木が。許せるかい、 そんなことが...。まだ君と同じ二六なんだよ」死の五日前、 混乱して必死に訴える啄木。だが、牧水にも金はない。( 本文より) (言視舎:2024年発行 - 208 ページ)
評伝小説の快作
詩人・歌人として天才の名をほしいままにするも、
★「若山君、僕はどうしても死にたくない。
初の啄木と牧水を主人公とした書き下ろし小説。
評伝小説の快作
詩人・歌人として天才の名をほしいままにするも、 自由勝手な行動で周囲を翻弄する啄木。家族の軋轢、極限の貧困、 そして不治の病により死が迫っている。いっぽう、旅と酒を愛し、 時代を画する歌人となりながら、 思いもかけぬ恋の行方に懊悩する牧水。「歌」 に寄せて二人の間に生まれた深い友情も、まもなく消え去るのか. ..。明治末期、大逆事件など騒然とした社会状況の下、 二人をめぐり、漱石、鷗外、鉄幹、晶子、 白秋ら多くの文学者が交錯する。
★「若山君、僕はどうしても死にたくない。 僕はまだ助かる命を金のないために自ら殺すのだ...。 見たまえ、そこにある薬が二、三日来絶えているが、 この薬を買う金さえあったら...、僕はすぐ元気を恢復する。 だがうちにはもう二六銭しか金がないんだよ。しかも、 もうどこからも金の入ってくる見込みはない...」「 死ぬんだよ、いなくなるんだ。この石川啄木が。許せるかい、 そんなことが...。まだ君と同じ二六なんだよ」死の五日前、 混乱して必死に訴える啄木。だが、牧水にも金はない。( 本文より)
評伝小説の快作
詩人・歌人として天才の名をほしいままにするも、
★「若山君、僕はどうしても死にたくない。