本書は著者の「閻魔悪太郎」というペンネームからして、ふざけているのであるが、これは悪戯に読者を刺激するための内容のものでは無い?と言いたい。が、真面目な啄木図書の読者への刺激を煽るようなところもある。しかし意外と真面目に啄木を読まれた方の「啄木観」でもある。
本書のように著者が自分流に啄木短歌を解釈したものであることの善し悪しについては言うまでも無く読者が決めるものである。
著者は歌詠みでもあるらしいが、身分を明かさない事由の1つには、啄木短歌の本質を捉えて無いと思える箇所も少なくないことを著者自身が承知しているようだからである。
私が気になったのは、本書が若い男性の読者を意識してなのか性的な面からの啄木紹介?には、異常なほどに執拗に他者の言葉を引用していることにも辟易したが、思わず笑ってしまうような深読みの面が多い。これも閻魔氏ならではの表現であると思えば気にならないことかも知れないが・・・。
が、されど、閻魔氏が自分の言い分を押し通すために?他者の著作を自分の都合の良い所だけ引用して、閻魔氏なる人物の言葉は、ワザとのように難解語を並べている所などは陳腐にも見える。
現代の若者には何も響くものは無いことを猛省してほしいと思いながら読んだが、現代の本を読む力のある高校生や大学生なら「なんだ、この程度で大袈裟なことを言って」と、本を閉じてしまうしまうこともあると思うが、閻魔氏の世代(実は不明)では、大袈裟に語りたい内容であったと思えば、この辺りも稚拙だが面白く読める。
その内容は写真の最終に載せた目次の項目を読んで頂ければ想像できるかと思う。目次は「啄木の隠された目線(1章)~(3章)で貫いている。
最後に参考文献として列挙された著者のために私観を一言。
いづれの参考文献もゴシップ的に使われた感じがする。が、読み手(閻魔氏)によっては、自分に必要なことが書かれてあったから参考文献として掲げたということになるが、本書を読まれた参考文献の著作者たちは苦々しく思うかも知れない。
つまり全てが著者の脳裏に浮かんだことを、自分の好きなように書くために35点の参考文献を列挙したのであり、全国紙、地方紙の各新聞記事を参考にしたのであり、閻魔氏の手にかかって丸められたものであることも確かだ。
したがって本書に羅列された内容は嘘も真も混じり合っていることを念頭に置いて読むと楽しめるかも知れない。