湘南啄木文庫ブログ

このブログは佐藤勝が個人的に収集した歌人・石川啄木に関する「よろず」情報を紹介いたします。また、私の雑多な日常的な話題や趣味の世界(落語や演劇鑑賞、読書体験)なども記してゆきますが、いずれの部門の同好の方々からのご協力なども頂くことが出来れば有難いです。なお、石川啄木に関する文献を主にした「湘南啄木文庫」のホームページ(http://www.ne.jp/asahi/shonan/takuboku/)の方も覗いて頂ければ嬉しいです。

岩手日報(コラム風土計)に啄木と牧水の短歌問答が登場した!

(風土計)2018.9.18

 若山牧水が友人・石川啄木の歌を評した一文は、なかなか面白い。「バカバカしいくだらぬ歌の方が多い」「どこがいいのか解らないようなところに彼の偉がある」

▼けなしているのか、褒めているのか。こう牧水は言っている。「歌を作るぞ」と啄木が構えて詠んだ作はつまらない。むしろ独り言を言うように、正直に、自然にあふれ出たものは「実にいいのがあるのである」

▼17日に没後90年を迎えた牧水は、臭みのある歌を嫌った。臭みとは気取ったり、てらったり、独りよがりの歌を指す。「歌を作るぞ」と構えるのではなく、感じたままを詠む。表現の際は「正直」こそ大事とした

▼「正直に詠まなくては駄目だ。幼稚だと思はれても構はない」「兎(と)に角(かく)、正直に、素直に詠むべきである」(「短歌作法」草稿)。同じように言葉を武器とする政治の世界も、牧水の言に学ぶべきではないか

▼「正直」を掲げて出馬しても、いつの間にか言わなくなる。それが個人攻撃に当たるからという。正直こそ大事だと、子どもの頃から教えられるのに。自民党の総裁選というものは、世間の常識と違うようだ

▼さらに党は、都道府県連に取材対応への自粛も求めた。質問に対し正直に答えることまで、やめさせるらしい。「正直」を封じた言葉ばかりでは、牧水先生が師なら見向きもしないだろう。