BSフジテレビ系列で4月から13回放映されたテレビアニメ「啄木鳥探偵處」(伊井圭原作・創元社文庫)は、放映終了後も各地で、アニメ展などが開かれるなど、話題を提供しているが、アニメ化された啄木とその仲間たち(金田一京助、吉井勇、若山牧水、などなど)も含めてグッツ品なども製作されて若い女子を中心に人気は高まる一方のようである。
本作品は、創元社文庫の新人発掘を目的とした探偵小説部門の受賞作品でもあったが、原作者の伊井氏は啄木大好き人間でもあった。私が受賞後に頂いた単行本には、伊井氏の当時の喜びを綴った手紙が挟んである。
そして数年後に文庫本の発行と同時頃に舞台化の話しもあって伊井氏と一緒に喜び、実現を待ったが、舞台の企画は実現しなかった。そして伊井氏は無念にも病魔に斃れて、若くして逝ってしまった。
今、各地の文学館などでアニメ「啄木鳥探偵處」展が開催されていることを天国の伊井氏はきっと、たくさん、たくさん喜んでいると思う。切ないけれど、私はそのように思っている。