このたび、毎日新聞(大阪本社版:夕刊)に倉橋健一著『歌について ~啄木と茂吉をめぐるノート~』(思潮社)が最近刊行されたことが大きな話題として載っていることをネットで知った。
私も早速取り寄せて読んでみた。先ず凄く濃い内容である。このように、「啄木と茂吉」の2冊の処女歌集軸に捉えて論じたものは長短は別にして、これまでにも何篇かあったが、倉橋氏のような感覚で捉えて論じられたものを私は知らない。
とにかく、均衡のある捉え方に私は著者の人格というか詩人としての骨の太さを感じてしまった。
啄木の夭折と大成した茂吉を同格に捉えて論じ、それを当然としたところに著者の人格を感じるのである。
☆☆☆☆☆
余談になるが先年、自費出版専用のような所から出た啄木論?だと著者が云う本を読む機会があった。それはあまりにつまらない内容なので紹介するのも躊躇されたと前置きして紹介したら著者から「立派な」恫喝の手紙が来た。その内容は稚拙で「削除しなければ、名誉棄損と営業妨害で訴える」という内容であったが、このような本は誰にも買ってほしく無いから喜んで即座に削除したことがあった。
さて、余談の話しは別にして倉橋健一氏が、啄木の『一握の砂』と茂吉の『赤光』を並立して論じた本書は素晴らしい内容です。どなたにもご一読をお薦めしたいと私は思う。
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