湘南啄木文庫ブログ

このブログは佐藤勝が個人的に収集した歌人・石川啄木に関する「よろず」情報を紹介いたします。また、私の雑多な日常的な話題や趣味の世界(落語や演劇鑑賞、読書体験)なども記してゆきますが、いずれの部門の同好の方々からのご協力なども頂くことが出来れば有難いです。なお、石川啄木に関する文献を主にした「湘南啄木文庫」のホームページ(http://www.ne.jp/asahi/shonan/takuboku/)の方も覗いて頂ければ嬉しいです。

小菅真起子著『中野トク小伝 寺山修司と青森・三沢』について

寺山修司外伝、恩師「中野トク小伝」のこと

 

この本は寺山修司が中学時代の恩師に送った75通の手紙を軸に、知られざる修司の素顔に迫った稀有の「寺山修司外伝」である。

 

修司研究の第一人者である著者は、修司が「心から求めた物は何んであったか」を本書は明らかにしている。

「カギとなる物を示唆している」と記すのが正確と思うが、私は敢えて「示唆していた」と記して置きたい。

 

また、終戦直後の日本国民は米軍に頼りきって生きていた。そのような日本の一地方に中野トクのような女性のいたことも含めて、今後の寺山修司研究にとっては貴重な資料となる書である。

 

感動させるのは著者が、中野トクと寺山修司に寄せる温かい眼差しを感じさせる言葉であり、その言葉がさらに本書の価値を高めている。

幻戯書房・2022年4月発行・2200円+税)

小菅真起子著『中野トク小伝』