湘南啄木文庫ブログ

このブログは佐藤勝が個人的に収集した歌人・石川啄木に関する「よろず」情報を紹介いたします。また、私の雑多な日常的な話題や趣味の世界(落語や演劇鑑賞、読書体験)なども記してゆきますが、いずれの部門の同好の方々からのご協力なども頂くことが出来れば有難いです。なお、石川啄木に関する文献を主にした「湘南啄木文庫」のホームページ(http://www.ne.jp/asahi/shonan/takuboku/)の方も覗いて頂ければ嬉しいです。

啄木の歌が、今も若者たちの心をつかむ理由(わけ)は!

  かつて、昭和の時代に石原裕次郎が歌って大ヒットした歌謡曲に「錆びたナイフ」がある。このヒット曲の歌詞は、啄木の歌からイメージをアップデートしたものであり、さらに少し遅れて大ヒットを飛ばし続けた谷村新司の作詞作曲となる「昴」2番(2章)の歌詞は、啄木の第二歌集『悲しき玩具』の冒頭歌からそっくり移動したものであるが、谷村の天才的なアレンジによって、この曲も見ごとにアップデートされたのである。

 下記の写真は、河北新報記事に載った「啄木と歌謡曲」についての幾篇かの論文も書いておられる国際啄木学会の現・会長である池田功氏(明治大学教授・文学博士)が、「啄木とZARD坂井泉水のことば」と題して講演されたことを伝えた記事の一部であるが「啄木の歌と歌謡曲」の関連性については、かなり以前から研究者も注目してきたことである。

 21世紀もすでに20年以上、20世紀の初頭に出た啄木歌集が、その没後120年近くなっても色褪せることなく若い人々に読み継がれ、歌われ継がれていっることの意味は、どこにあるか、池田氏は現代の啄木研究者を代表する1人として、どのように語られたのか、コロナ禍でなければ拝聴したいものであったが、叶わず、記事を頼りに私は、しばし、啄木の歌と歌謡曲との関連性を思い、「啄木の歌は日本人の心の付箋のようなもの」と語られた作家、井上ひさし氏の言葉を思い浮かべた。

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写真は「河北新報」のネット記事の一部