湘南啄木文庫ブログ

このブログは佐藤勝が個人的に収集した歌人・石川啄木に関する「よろず」情報を紹介いたします。また、私の雑多な日常的な話題や趣味の世界(落語や演劇鑑賞、読書体験)なども記してゆきますが、いずれの部門の同好の方々からのご協力なども頂くことが出来れば有難いです。なお、石川啄木に関する文献を主にした「湘南啄木文庫」のホームページ(http://www.ne.jp/asahi/shonan/takuboku/)の方も覗いて頂ければ嬉しいです。

碓田のぼる著『啄木断章』(本の泉社:2019年10月7日発行)

碓田のぼる著『啄木断章』(本の泉社:2019年10月7日発行)

啄木研究の大家である碓田のぼる氏が新刊『啄木断章』を発行されました。

90歳を超えて今なお、啄木研究への情熱を持ち続ける著者の碓田氏には何度もお会いしているが、その謙虚な姿に私は何時も感動する。

氏は歌人でもあり、その歌集の全貌を私は知らない。私の知る碓田氏は熱心な、そして熱い啄木研究者の姿であり、そのいずれの著書からも伝わってくるのは、不条理な社会を黙認してはならない、という静かな怒りなのであるが、氏は今回の著でも啄木の言葉を通して社会の矛盾を追及しているが、冒頭に収めた「啄木詩「老将軍」考――越境するナショナリズム――」では、啄木詩の原点を見つめている所が碓田研究の鋭い視点であり、90歳を超えてなお、止まない熱い研究への情熱に圧倒される思いである。

また、「曹洞宗」という宗教面からの新しい視点で「啄木伝記」の見直しを指摘していることにも感服する。

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碓田のぼる著『啄木断章』 湘南の啄木 (id:takubokusatoemailnejp) 89日前