最近入手した啄木文献の中に2冊の啄木研究書がある。
1.池田功著『世界は啄木短歌をどう受容したか』(桜出版:四六判/380頁/1800円+税)
※国際啄木学会の現会長である池田功氏の編著になるが、池田氏のほかに14人の国際啄木学会会員が調査した「世界で読まれている啄木短歌」を主軸テーマとした論考は他に類をみない試みであり、啄木短歌が今後も国際的に受容されてゆくことを示唆する貴重な1冊である。
2.新木安利著『石川啄木の過程』(海鳥社:四六判/380頁/2000円+税)
※本書は主に啄木が明治の文人として唯一人、貴重な記録を書き残した「大逆事件」について述べているが、今日では冤罪であることも明らかな事件で、今も「大逆事件」として日本の恥の裁判記録として残っている事件であり、それを明白にするためにも啄木が書き残した(正確には「書き写した」である)啄木の記録をたどり、事件と当時の政府の陰謀に迫りながら、啄木の生涯をたどり、啄木を「真の詩人」と称した啄木讃歌の1冊の内容は重い。satuno