岩手県盛岡市の「盛岡てがみ館」で、只今、開催中(本年5月24日まで)の「吉田孤羊コレクション」展は、啄木愛好者はもちろん、啄木の研究者にとって必見のものが多いようだ(私はコロナ禍で未見)。
吉田孤羊は啄木研究の原点を知る上で貴重なものを多く遺した人物であり、合わせて様々なエピソードも残しているが、今回の展示品の中では、その人が遺した遺品の一部が公開されているようで、展示会場を見て来た友人が受けた印象に重ねて、私が以前から知っていることを少し紹介させて頂くことにした。
これは「盛岡てがみ館」(正確には盛岡市)に、孤羊の亡き後に未亡人の道子夫人から寄贈された孤羊のコレクションであり、他にも孤羊自身が生前に岩手県立図書館や石川啄木記念館などに寄贈した品もあるが、未亡人からの寄贈品の整理に、ボランティアで参加されていた「岩手近代文庫」を主宰し、啄木研究者でもあり、多くの著書を著して後世の研究者に残してくれた故・浦田敬三先生から私が直接伺った話しでは、寄贈の約3年ほど後のことであったが、その整理は「寄贈品は約4万点に及ぶが整理は未だ30%も進んで無い」と話されたことが今も私の記憶に深く残っている。
このような方々の盛岡市民や、その関係者によって孤羊のコレクションはこれまでにも何度か開かれてきたが、今回の展示の特徴はスキャンしたチラシの拡大でも確認できるが、啄木が通った当時の学校(渋民小や盛岡中)や、啄木が列車に乗るために利用したであろう当時の上野駅や北海道函館で散歩などして寝ころんだ大森浜の砂山の写真などとともに友人宛の手紙なども展示されているので、機会のある方にはぜひ、お運びくださいと申し上げて置きたい。