山下多恵子氏は先に『忘れな草 啄木の女性たち』(未知谷:2006年)を書いて、啄木研究家としての揺るぎない山下氏の名を内外に広く知らしめた。
続けて『啄木と郁雨』や近代の苦悩した女性像を浮き彫りにした渾身の名著となった評伝『裸足の女 吉野せい』やハンセン病の歌人、明石海人の評伝『海の蠍』など多くのすぐれた著書をおくり続けている。
今回の書には啄木と関わった5人の女性が、如何に明治という時代を生きたかを軸にして啄木の真実の苦悩や、その人間性を浮き彫りにしている感動の1冊であり、今後の啄木研究には欠くことのできない1書になったと思う。
ここでは、目次のみの紹介として置くが、ぜひ、お求めになって、5人の女性の優しさと、強さと、そして啄木の凄まじいほど真摯に人生と向き合った姿を読み取って頂きたいと思う。