国際啄木学会の副会長の大室精一氏が短歌総合誌「現代短歌」2018年6月号に「石川啄木の推敲」という論文を発表された。大室氏は先年『『一握の砂』『悲しき玩具』編集による表現』(おうふう・2016年12月)という大著を出しておられるが、その著は未踏の「啄木歌集の謎」に迫ったもので学会をはじめ、多くの啄木愛好者や研究者に「新しい啄木」の姿を強く印象付けるものであった。
頭書の論文は その序論的なものであるが、啄木の2冊の歌集がどのような意図をもって編集されたのか、これまでに誰も踏み込まなかった分野へ、10年前に最初に踏み込んだのが大室氏であった。爾来、研究を重ねてなった大著は多くの研究者に多大な貢献を寄与する書として歓迎されている。
その大室氏が書いた論文ということで別の短歌総合誌「短歌往来」(2018年8月号)にて高山邦男氏の担当する「評論月評」で高く評価しているので、公立図書館のコピー解除を機に、ここで大室氏の論文と高山氏の「月評」を一挙に紹介する。
(2018年9月7日 湘南啄木文庫主宰 佐藤 勝)