森 三紗著『宮沢賢治と森荘已池の絆』(1800円+税・コールサック社・H29・4)の中に「石川啄木と宮沢賢治と森荘已池―『一握の砂』発刊百年に思う―」という短い文章が収められている。著者の森氏は戦前の直木賞受賞作家であ森荘已池の末娘である。
森荘已池と啄木は直接的な関係は無いが旧制の盛岡中学の10年後輩で詩人の宮沢賢治。
そして森荘已池は賢治の12年後輩である。
本書の中には盛岡中学を軸にして3人の偉大な作家がいる。
森荘已池は会ったことのない啄木を敬愛する文学少年期を経て宮沢賢治と奇跡の友情が結ばれている。
娘が父から直に見聞きしたことの説得力は強く心に響く。
啄木に触れた箇所が少ないのは残念だが盛岡中学の文学の流れを知る上では貴重か生の証言の一書である。
なお、詩人でもある森三紗氏の文章は美しくて解りやすい。さ